UX検定の学習記録#1「UXとは」UXの定義・概念、類似語句(UI/CX/DX/EX)の違いと関係性は?

UX検定の学習記録#1 「UXとは」UXの定義・概念、類似語句の違いと関係性を解説 自己研鑽

この記事は、UX検定の学習記録としてシラバス(参考:シラバス(2023年5月時点))に基づき執筆しています。
今回は「UXインテリジェンスの概念」である「UXとは」についてまとめていきます。

学習目標主な学習内容
UXの定義を理解し、類似する語句との違いや関係性を把握する代表的なUXの定義
UXインテリジェンス協会の考えるUXの定義
UXの構成要素
UXと混同されやすい語句の定義及びUXとの関係性
UX検定の学習シラバス

UX検定のお試しクイズ!#1「UXとは」編

UX検定のシラバス「UXインテリジェンスの概念」のうち、
「UXとは」に関する4択クイズを用意しました。
ぜひチャレンジしてみてください!

 

全6問の選択式で、最後に正答を確認できます。
回答に関する詳細は、記事↓の続きを読んで理解を深めてみてくださいね。

1 / 6

UXの略称の正しい意味は何ですか?

2 / 6

UXのハニカム構造において、「情報や機能がユーザーにとって見つけやすく、ナビゲーションが直感的であること」を指す要素は次のうちどれですか?

3 / 6

UX白書のモデルにおいて、商品・サービスを利用する前にユーザーがその利用体験を想像する段階を何と呼びますか?

4 / 6

UXの定義において、「企業・サービス・製品」と「関わるあらゆる人々」との関係を形作る「相互作用のすべて」と定義しているのは次のうちどの組織ですか?

5 / 6

UXのハニカム構造において、「Desirable」と「Valuable」の要素の関係性を最も適切に説明しているのは次のうちどれですか?

6 / 6

UX白書のモデルにおける「累積的UX」の特徴として、最も適切なものはどれですか?

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UXとは

UXは、ユーザーエクスペリエンス(User Experience)の略で、ユーザーが商品・サービスを利用した際に得られる体験・経験を指す言葉です。「顧客体験価値」とも言われることもあります。日常生活そのものであり、使いやすさや感動、印象といった体験のすべてを包括します。

UXの定義

UXの定義は複数存在しますが、代表的なUXの定義としてUXインテリジェンス協会(UXIA)では以下を挙げています。

提唱者定義
ISO*製品、システム又はサービスの使用及び/又は使用を想定したことにより生じる個人の知覚と反応
ニールセン・ノーマン*「ユーザーエクスペリエンス」は、エンドユーザーと「会社、会社のサービス、商品」の相互作用の全ての側面
UXPA*ユーザーの全体的な近くの構成要素となる製品、サービス、および企業とのインタラクションのあらゆる側面
UXIA「企業・サービス・製品」と「関わるあらゆる人々」との関係を形作る「相互作用のすべて」
代表的なUXの定義

*ISO:国際標準規格ISO 9241-210:2010
*ニールセン・ノーマン:ユーザビリティ(UI)とユーザーエクスペリエンス(UX)のコンサルティング企業。ヤコブ・ニールセン(Jakob Nielsen)とドン・ノーマン(Don Norman)によって設立
*UXPA(User Experience Professionals Association):UXデザインの専門家団体
*UXIA:UXインテリジェンス協会

これらの定義には共通して、以下のような特徴があります。

  • 商品・サービスの「使いやすさ」「わかりやすさ」といった客観的な品質だけではなく、ユーザーの「楽しさ」「心地よさ」といった主観的な感性を提唱している
  • 商品・サービスの利用時に限定されておらず、利用する前から利用した後までの一連の流れ、期間を対象としている

このように、UXとは、ユーザーの目標やニーズの満足度に焦点を当て、単に使いやすいだけでなく、ユーザーが満足感を持って商品・サービスを利用することが重要であることがわかります。

次に、UXの具体的な構成要素を深堀りしていきます。

UXの構成要素・考え方

UXをどのような視点かUXのハニカム構造ら考えれば良いのか?以下のような概念に従って整理することができます。

  • UXのハニカム構造
  • UXの5階層モデル
  • ハッセンツァールのUXモデル
  • UX白書のモデル

UXのハニカム構造

UXのハニカム構造

引用:https://www.asobou.co.jp/blog/web/ux-honeycomb

UXのハニカム構造*は、情報アーキテクチャ論の先駆者であるピーターモービル氏によって2004年に提唱された、UXを評価するためのフレームワークです。このフレームワークは、Webサイトやアプリケーションがユーザーに提供する価値を7つの要素に分解し、それぞれの要素がどのようにUXに寄与しているのかを視覚的に表現しています。

*ハニカム:「ハチの巣」を意味する単語

UXのハニカム構造の7つの要素は以下の通りです。

要素内容
役に立つ(Useful)コンテンツや機能がユーザーによって有用であり、目的達成に役に立つこと
使いやすい(Usable)ユーザーが簡単に理解し、操作できること
探しやすい・見つけやすい(Findable )情報や機能がユーザーにとって見つけやすく、ナビゲーションが直感的であること
信頼できる(Credible)サイトやアプリが信頼性を持ち、ユーザーが安心して利用できること
アクセスしやすい(Accessible)すべてのユーザーがアクセス可能であり、特に障害を持つユーザーにも配慮されていること
好ましい(Desirable)デザインやブランドがユーザーにとって魅力的であること
価値がある(Valuable)サイトやアプリがユーザーとビジネスの両方に価値を提供すること
UXハニカムの7つの要素

このようにUXのハニカム構造は、各要素が連携し合い、総合的なUXの向上に貢献することを示しています。これらの要素を考慮しながらプロジェクトを進めることで、より良いユーザー体験につながります。

UXの5階層モデル

UXの5階層モデル

引用:https://goodpatch.com/blog/how-to-design-the-elements-of-ux

UXの5階層モデルは、UXの要素を5つの段階で示したものです。2002年にアメリカのUXデザイナーであるジェシー・ジェームズ・ギャレット氏が著書『Elements of User Experience』で提唱しました。UXデザインのプロセスを5つに分類し、各段階で求められる作業内容と目標を定義しています。

UXの5階層モデルの5つの要素は以下の通りです。

段階項目内容アウトプット例
戦略(strategy)目的・目標設定
「誰に対して、なぜ」
ビジネス戦略や目標に基づいてUXを計画する段階です。
ビジネスの方向性を理解し、ユーザーとの接点で
どのような体験を提供するかを決定します。
コンセプト
ブランドアイデンティティ
ビジネスモデルキャンバス
成果測定基準
要件(scope要件定義
「何を」
プロジェクトの範囲を決定し、機能やコンテンツの要件を定義する段階です。
ユーザーに対して、どの機能やコンテンツを含めるか、
また、どのような構造で提供するかを決定します。
要件定義書
仕様書
カスタマージャーニーマップ
構造(structure)モデリング*
「どのような構造で」
サイトやアプリ内の導線や情報の構造を設計する段階です。
ナビゲーションや情報アーキテクチャを決定します。
サイトマップ
骨格(skeleton)レイアウト・ナビゲーション
「どのような画面で」
具体的なレイアウトや構成をワイヤーフレームで定義する段階です。
ユーザーが画面上でどのような操作を行うかを検討し、骨格を定めます。
ワイヤーフレーム
表層(surface)視覚的デザイン
「どのような見た目で」
最終的なデザインを決定する段階です。
色やフォント、アニメーションなど、具体的なデザイン要素を肉付けします。
デザインカンプ
プロトタイプ
UXの5階層モデルの5つの要素

*モデリング:模型(モデル)を組み立てること

このように、それぞれの段階でのアウトプットを次の段階のインプットにプロジェクトを進行することで、前後を行き来しながら最終アウトプットの精度を上げていくことができます。

ハッセンツァールのUXモデル

ハッセンツァールのUXモデル

引用:https://zoom-design.jp/blog/knowledge_knowhow/post-2514/

ハッセンツァー ルのUXモデルは、ドイツのUX研究者マーク・ハッセンツァールが考案したもので、デザイナー視点とユーザー視点の側面からUXを評価するモデルです。「商品・サービスの価値は、ユーザーの体験によって決まる」というUXの前提に基づき、『実用的属性』『快楽的属性』の2つの視点で品質を高めることを目指します。

製品の特徴(内容、表現、機能性、インタラクション)は、ユーザーにとって実用的属性(操作性)と快楽的属性(刺激、同定、喚起)の2つの要素に分けられ、ユーザーの状況によって結果(魅力、嬉しさ、満足)がもたらされることを可視化しています。ここでは、「優れたUXをデザインする」のではなく、実際には「優れたUXを目指してデザインする」というちょっとしたスタンスの違いを汲み取ることが重要です。

UX白書のモデル

UX白書モデル

引用:https://u-site.jp/lecture/cumulative-ux

UX白書のモデルは、UXを時間軸に沿って4つの期間に分けて捉える概念を提唱しています。このモデルは、2010年にドイツで開催されたセミナーでユーザビリティ専門家30人が議論し、その成果としてまとめられた文書に基づいているそうです。

4つのUX期間は以下の通りです。

期間内容
予期的UX
(Anticipated UX)
商品・サービスを利用する前に、ユーザーがその利用体験を想像する段階です。
広告や口コミ、レビューなどを通じて得られる期待やイメージが含まれます。
一時的UX
(Momentary UX)
商品・サービスを実際に利用している最中の体験です。
この期間は、ユーザーの直感的な感情や反応が中心となります。
例えば、操作のしやすさやインターフェースの反応などが影響します。
エピソード的UX
(Episodic UX)
一時的UXの体験を振り返ったときに感じる心情や評価です。
具体的な利用エピソードに基づいて、ユーザーがその体験を内省し、評価します。
累積的UX
(Cumulative UX)
長期間にわたって製品やサービスを利用した後の見方や評価です。
累積的UXは、複数の利用体験を通じて形成される全体的な印象や評価を指します。
4つのUX期間

このようにUXには4つの期間が存在することから、UXが一時的な体験だけでなく、利用前から利用後まで広範囲にわたることを前提に設計することが重要であると読み取れます。

UXの類似語句と関係性

UI、UX、CX、DX、EXの関係性イメージ

UXの定義や提唱されているUXの考え方を通して、具体的な概念を整理してきました。一方、UXには混同されやすい語句があるため、それらの定義とともに、UXとの関係性を見ていきます。

語句定義UXとの関係性
UI
(ユーザーインターフェース)
ユーザーとシステムの接点となる部分。
具体的には、画面のデザインやボタン、音声インターフェースなどが含まれます。
UIはUXの一部を構成する要素。
優れたUIはUXの向上に寄与しますが、UIだけでUX全体を網羅することはできません。
CX
(カスタマーエクスペリエンス)
顧客が企業やブランドとの接点全体を通じて得る体験。CXはUXよりも広い概念で、製品やサービスの利用体験だけでなく、
ブランドイメージや購買前後の体験なども含みます。UXはCXの重要な一部を構成します。
DX
(デジタルトランスフォーメーション)
デジタル技術を活用して、企業のビジネスモデル、業務プロセス、組織、企業文化などを変革し、競争力を高めることです。DXは企業全体の変革を目指すもので、UXの改善もその一環として含まれます。
EX
(エンプロイーエクスペリエンス)
従業員が企業で働く際に経験するすべての体験。
職場環境、企業文化、福利厚生、キャリア成長の機会などが含まれます。
EXは従業員の満足度やエンゲージメントに影響を与え、ひいては企業の生産性や業績にも影響します。
UXの類似語句と関係性

類似語句として、UIを包含するUXを中心に、CX、DX、EXが相互に補完し合っていると理解しました。CXを提供するために必要なEX、その基盤を支えるDX、という3Xの関係性で、UXはこれらの中心的な要素であり、それゆえに、UXの向上に取り組むことは不可欠です。

まとめ

UXを理解するために、UXの定義や具体的な概念、UXに関連する周辺用語を整理しました。より良いユーザー体験を提供するための根底を理解し、アウトプットの精度を高めていきたいと思いました。

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